#10 想像より凄かった黒戸尾根
【前回の続き】
しょっちゅう丹沢を徘徊していた丹沢boyの僕が今、南アルプスは甲斐駒ヶ岳の山頂を目指し、黒戸尾根を歩いている。
ついに黒戸尾根を歩いた
↑これが南アルプスかあ。へへー♪
↑え、石にコケ生えてるじゃん!?
↑いい。道が新鮮でいい。南アルプスいい。
↑なんだこれ。いちお写真を撮る。
↑ここが危険と言われていた刃渡りというポイント。まあ確かに落ちれば死ぬかもだけど、そこはまだ序盤。全然油断していないので落ちようがない。それよりこの写真の彼、色んな山に登っているらしく山の情報を教えてくれた。とても優しかった。
↑こんな素敵な道を歩いてだな。
↑めっちゃ霧になったが、雨より全然マシ。
神様、微妙すぎるはからいをありがとうございます。
↑この辺りから普通の登りじゃなくなる。道がおかしい。
でも時間がない。早歩き早歩き。
↑ここが5合目と言われる場所。
黒戸尾根が本気を出してくるのは5合目からだと噂に聞いていたので、ここから気合いを入れ直して進む。
↑七丈小屋という所に到着。
もうね、この辺りまで来ると日本三大急登の意味がわかってきましたよ。まーーーっすぐ真上に登るんだもの。だから直角にハシゴが立ててあったりとかばっかりなんだもん。強引に道作ってしまった感じなんだもん。道は新鮮で楽しかったけど夢中で登ってたから写真撮るの忘れてた。
↑黒戸尾根の本気を受け入れて乗り越えた僕は、さらに気合いを入れ直し、サラミペースを、、あ。間違えたけど消さない。更にペースを上げて進むと、でっかい岩の上に剣みたいなのが刺さってた。いつか選ばれし者になったら抜きにこようと心に誓う。
↑さあ結構来たぞ。背の高い植物がなくなってきた。
↑これはあれだ。きっと森林限界ってやつだ。
なんかやった!なんとなくやった!
空気薄っ!疲れた!
環境によって樹木が生育できずに森林としての姿にならない境界線を「森林限界」と言います。
↑ハイマツってやつ。
↑周りはハイマツだらけ。まだ霧も半端ない。
山頂はまだか?まだなのか?
結構早いペースで結構な時間歩いてるんだけどなあ。
でも心は折れていない。何故なら昨日寝てないから。
変なハイテンションってやつです。
↑あああああ!!
太陽様は霧の向こうにいた。
もはや見えただけでも嬉しい。
↑ついに山頂!
と、思って僕は「やったー!」って言っちゃったけど、でっかく8合目って書いてあったのを見て思わず、嘘でしょ?って思った。相変わらず空気は薄いが、心はめっちゃ元気。だって心が折れたら終わりなのわかってるから。元気にしてないとせっかくここまで来たのに帰ることになる。もう一度出直してこの道を登って来るのは本当に嫌。それだけは本当にすっげーーめんどくせえ。
↑先を見ても、どんな道があって、体感的にあとどのぐらい歩いたら山頂なのかが全くわからない。地図で大枠は把握してるけど僕はもう何も考えないで歩くことにした。歩いてればそのうち着く。ペースを上げているので時間にはまだゆとりがある。さあここからは森林限界を超えた登山ってヤツを楽しもうじゃないか!なんでも来たまえ黒戸尾根くん。
↑いや、いや、いや、いや、これはやめましょうよー黒戸尾根くん。確かになんでも来いって言ったけどここまで登って来てからのこのパターンはやめましょうよー。もう結構歩いたし空気も薄くなってきてるじゃないですかー?
↑あ。あそこ山頂かな? いや、もう騙されないぞ。
↑全然普通の道ないじゃない。黒戸尾根くん。いや、黒戸尾根様。
まあいいよ。僕はテンションが高いんだ。
↑あのー黒戸尾根様。これ道って言いますか?
↑全然手を抜かないじゃない黒戸尾根先生。
ここへ来てもまだ急な道が続くじゃない!
そして一旦、冷静になって後ろを振り返ってみる、、、
↑わーーーーーい。帰りこんな道を降りるー。
何やってんだ俺。ってなるから細かいことを考えるのはやめよう。
↑あ、また剣がある。
↑もうコテンパンに登らされて自分の心と向き合いすぎたもんで、黒戸尾根の環境自体が聖なる領域と思うほどに洗脳されちゃってますもんでね、すげー清き剣にしか見えない。僕は手を合わせて先を急ぐ。
↑あれれれれーー?あれあれー!?空が明るい。
↑晴れて来た!!!!!!!
↑太陽さま。有難や。有難や。
あなた様のお陰で僕は生きております。
わたくし洗脳中でございます。
↑これもう道じゃないじゃん!ってことはこの際どうでもいいか。あの先に見えるのも山頂?、、、ではなさそうだ。
↑わかった!ここ雲の上だ!
晴れたんじゃなくて雲の上まで歩いて来たってことだ。
わたくしが生きているのは雲の上のお陰ですー。
洗脳中ですー。
テンションが上がったり下がったり。
寝不足にも助けられ多少高山病&情緒不安定です。
↑うわうわ。
なんか知らぬ間に凄いところに来てるっぽいぞ。
↑あれ山頂か?(また言ってる。)
↑まずこれを登れと。どこもかしこも急なんだよな。それにしても空気薄っ。
↑俺様の日頃の行いは、このような晴れを呼び込んでくるのじゃーー!
ガハハハー!
↑ってこの時は思ってたけど、日頃の行いが良いとか悪いとかって話だったら、最後以外は全部雨と霧だったので、日頃の行いをほとんど改めなきゃいけないってことになるな。
↑さあぽいぞ。山頂ぽいぞ。
↑あ、山頂はあっちか・・・最後までやってくれるぜ黒戸尾根。
でも今までの道のりと比べたらあと一息。だってゴール見えてるんだもん。あそこまでなんて全然楽勝。
↑何度も「あれが山頂だな?」なんて思いながら山頂じゃなかったのを乗り越え、最後はこんな道を歩いて、、、
↑じゃーーーーーーーーん!!!!
やーったー♪
↑雲が沢山あるけど、山頂も霧だと思っていた僕には最高の景色。
↑こんな木の棒もカッコよく見える。これ、こんな所にずっと立ってんだな。
山頂には他のルートから登ってきてる人がいて、平日にも関わらず少し賑わっていた。何人かの知らない人に話しかけられ黒戸尾根について聞かれたが、"必死でした" としか答えられなかった。
今客観的に考えると、みんな誰に頼まれたわけでもないのにこんな場所までわざわざ来ている。そこにはきっと人それぞれの色んな思いがある。だからこういう場所で人と話す時は、そこをリスペクトしなくてはいけない。
↑ペース上げて慌てて登って来たもんだから 少し高山病気味だったけど大丈夫、テンションだけは高い。と、自分を強く洗脳するゆとりはあった。写真を撮ってくれたのは登りで話をしてくれた優しい彼。このあとFACEBOOKで繋がった。ありがとう。
↑山頂にこれがあったけど何かわからない。いちお「お邪魔してます。」と、手を合わせた。
↑やはり景色は丹沢じゃなかった。これが南アルプスかー。晴れてる時にまた南アルプス来よ。でもここはもういいや。しんどい。と思いつつ下山開始。
↑帰りは早い。もう用は済んだからサクサク下る。
あとは怪我をしないで下山して、事故らないように車で家に帰るだけ。
↑走れど走れど長い長い道が続く。
アスレチックの様な道を下りながら、よくこんなとこ登ったなって何回も思った。
そんなことを思いながらの下山は自信になった。
進めば進むほど自信は増え、"静かな喜び" に繋がった。
これが大人の成長ってやつかもしれない。
そしてそれがこの山を登った目的だった。
欲しかった自信が手に入った実感は、心地よかった。
↑行きにみた看板。"竹宇登山口から1時間半のこの場所は【笹の平分岐点】と言います。甲斐駒ヶ岳まで行くなら7時間ですよ!"っていう看板(笑)冷静になってる下りで見ると、山頂まで8時間半かかりますよ!っていう、日帰り登山者から言わせると常軌を逸した看板なんだけど、行きはテンション高かったから気にもしなかったなあ。行きと帰りではテンションが違うから、これを気にもしなかった行きの自分に少し引く。でもそのテンションのお陰で登り頑張れたし、下りは早く帰りたいパワーあったから走れるところ全部走ってたし、全部で8時間ちょいで往復した。せっかくだからって頂上で1時間ぐらいのんびりご飯食べてたのを足して、合計9時間ちょい。上出来でしょ!そして下山後、登山口にある竹宇駒ヶ岳神社ってとこで無事に帰ってこれたことに感謝のお礼をしてから家に帰って死ぬほど寝た。ていう充実した一日の話。