「今回の山は、マジで疲れた!」って、山に行く度に言っている "さとうだいすけ" です、こんにちは。
久々に丹沢での一人旅。
得意の日帰り。
僕は、最近の色んな人との関わりや出会いを本当にありがたいと感じている。今回の旅の道中でも色んなことを思い、丹沢の自然と、そこに関わる人たちとの繋がりを自分なりに感じながら歩くことが出来た。今回の山行は、結果から言えば僕はズタボロになり、帰り道に寄った近所のラーメン屋 "梅吉" へは、駐車場から足を引きずりながら店内へ。そしてマスターに心配してもらいながら店を出るという不甲斐ない客になった。しかも閉店時間はとっくに過ぎていたのに。毎度毎度、話に付き合わせてすいません。でもまた行きますごめんなさい。家に着いてからも風呂浸かるときに「よっこいしょ〜、お〜、あああ〜良いお湯だ〜。」なんて心の声が漏れる始末。そして次の日の朝は、おじいちゃんの様な足取りでトイレへの一歩を踏み出し、1日が始まり・・今に至る。
今回は、こんな結果になった山登りの記録を残したいと思う。
それにしても「え?」ってなるような、自分にとって意外な人達がブログを見てくれていることに本当に毎回びっくりしています。本当に嬉しいです。ありがとうございます。みんなが見てると思うと、今回は蛭ヶ岳じゃなくてエベレストに登ったことにしようと思ったけど、それはまたの機会にします。その時には、想像だけで日本を出発するところから書いてみます。勝手なイメージだけで現地の人とのやり取りとか、食べ物で腹壊したとか、ベースキャンプで他の国から来た仲間と喧嘩してみたりしようと思っています。そして最後は、わたくしの帰りを今か今かと待ちわびる沢山の記者を空港に待機させ、日の丸を胸にニヤニヤしながら日本に戻ってくることでしょう。
そうですね。いいから早く蛭ヶ岳に行けということですよね。わかります。では参ります!
歩いてみたかった長尾尾根
今回は、札掛にある丹沢ホーム横から山に入り、長尾尾根で新大日を目指す。そこから表尾根を使って塔ノ岳へ。そして丹沢山を越え蛭ヶ岳へ。そして来た道を戻るというルート。
そもそも長尾尾根を歩いたことがないので、歩いてみないとなんとも言えないんだけど、どちらにしても蛭ヶ岳までは距離がそれなりにある。コースタイムは行き6:45、帰りが5:15、合計12時間。ここまで調べといて、スタート地点の札掛に着いたのが8時半前。このあと驚くべきことに、登り始めてすぐのベンチで朝ごはん。しかも、おにぎりとポカリというセンスないやつ。そんなこんなで出発は9時。バカだ。本当にバカだった。というのも、この時は「まあ行けたら蛭ヶ岳まで行こう」っていう軽い気持ちでいた訳です。
↑今思えば自分に "しかたない" という類の言い訳を作っていた気もするし、また来ればいいという "逃げ道" を用意しようとしていたのかもしれない。
↑「ひとまず塔ノ岳へー!」なんて思って歩き始めてしばらくは、台風19号の仕業であろう崩れた場所の写真を撮ったりしながらのんびりやっていた。
↑「み、道がない・・・。」静かにこの光景を見ていると、「パラパラ・・・パラパラ・・」と、この斜面を小さな石が砂と一緒に流れていた。なるほどねー。わかってはいたけど、こうやって流れるんだ。こんなのが一気に動いたらそりゃ大変だ。地面が流れていくんだから、木だろうが家だろうが人だろうが何でも動かしてしまうだろう。更にそこに水が混じったらエライことになりそうだ。人間にとっては自然災害だけど、自然にとっては上から下に流れてるだけ。自然と共存することには当たり前の法則があるように、人間同士の共存にも法則はある。本当は何事もシンプル。
↑そしてここを通過して後ろを振り返り、現実と向き合うしかなくなる。もし蛭ヶ岳まで行って、帰り真っ暗になっても帰りはここを通る。「ヒーーーーーーー!怖い怖い!」もし帰り、崩れて通れなかったらどーする?真っ暗な中、ここを通過中に崩れたらどーする?誰も通らない。平日だし、このルートに次いつ人が来るかなんてわからないのに。「ヒーーーーーーーーーーーーーーこわー!」って、一人で色んなことを勝手に想像する。そして2分経過すると全部忘れる。良くもあり悪くもある。
↑写真だとわかりずらいけど、こう見えてこの木は結構太い。足場も悪いので、一回で簡単にまたぐというよりは一旦低い部分に乗って反対側に移動する。もちろん斜面側が低いので、木がツルって滑ったら「あーーーれーーーーー。」って転がっていってしまう。だから・・・
↑ここに人の優しさがある。
そしてしばらくして自分の心と向き合い始めたのです。理想とする今日果すべき目的は2つ。長尾尾根を歩く事と、蛭ヶ岳の東城さんに丹沢Tシャツを渡すこと。そして明日から天気は崩れるので、今日行かないとしばらく晴れない(のちに予報は変わったが・・)。来週になるとまた、東城さんは下山していなくなってしまう。今回が丹沢Tシャツ50枚渡す予定の最後の一枚だ。今日は完全にチャンスだ。
↑今振り返ると、キュウハ沢への分岐を越えた辺りで覚悟が決まったのかもしれない。スタート地点の札掛から1.7km地点だ。僕は新大日、塔ノ岳方面へ。
↑ゆっくりと自分にプレッシャーをかけ始める。ペースを上げれば明るいうちに帰って来れる・・かもしれない。今から本気で行けば俺なら出来る・・かもしれない。この、"かもしれない" が本当に厄介で、自分の決断に絶妙なブレーキをかけてくる。遅い。自分の決断の遅さに嫌気がさす。
↑しばらく周りをキョロキョロしていると、次第に大山や、三ノ塔が見えた。
↑そして丹沢三峰や丹沢山、塔ノ岳なども見えてくると現在地を実感しはじめ、初めての尾根を歩いていることに気分が良くなってくる。
↑そして気付けば、雪の道になっていた。ここは表面が少し凍った雪だった。氷の上を歩くような感じだと思って油断して歩いていると、いきなりズボ!って踏み抜くので、油断していると逆に疲れる。そんな雪の道を歩くのは大変だが・・・
↑実際は、カメラだけ雪の上を歩いてる感じにして、自分は雪がない所を歩く。
↑しだいに雪が増え、逃げ場がなくなったので、カメラを置いてチェーンスパイクを装着。
↑コレである程度無敵だ。この時はもう気持ちも前向きに、普通に蛭ヶ岳に向かっていた。時間短縮の為、小走りを混ぜ始める。
↑札掛から5.4kmで新大日(1,340m)に到着。塔ノ岳までは1.4kmみたいだ。
↑さすが。久々に表尾根に来たけどロケーションは最高だ。少し雲はあるけど、箱根の山や相模湾が良く見える。ここで地図を見て時間を確認した後、一気に塔ノ岳へ!
↑塔ノ岳山頂からの景色。富士山と南アルプスを横目に、足を止める事なく丹沢山へ向かう。ここから蛭ヶ岳までの大変さは、蛭ヶ岳までに越えた山での写真で確認してもらいたい。
↑まずは日高に到着。塔ノ岳から1.1km。顔に熱を持っている感じがする。体は暑いけど風は冷たい。
↑竜ヶ馬場に到着。表情に覇気を感じない。理由は簡単。お腹が空いている。丹沢山まで1kmを切った。
↑塔ノ岳から丹沢山まで40分で来た。コースタイムで考えると1時間の短縮が出来た。「行けるぞ。日が暮れる前に下山出来る!」という気持ちとは裏腹に、写真の撮り方がもう適当。理由は簡単、お腹すいてるから。このあとココにある "みやま山荘" でデッカいカップラーメンを食べる。そして小屋の根本さんと話が弾み、45分滞在する・・・あ、やべ。帰り暗くなる!と、慌てて出発。
↑不動ノ峰に到着。本人なりに深刻。
↑棚沢ノ頭。まあこうなる。
↑鬼ヶ岩に着く頃にはもう手だけ。実は風も強くてね。2、3回、油断してたら片足がフワって浮いたから、写真なんて面倒だからこれでいいや、と。写真撮らなければいいじゃん!って話なんだけど、自分の歩くペースと心理状態の関係をあとで調べるのに一人の時は毎回写真を撮って場所と時間を記録している。どんだけ自分研究してるんだって話だけど、根本的に人間はみんな一緒なので、自分を知れば他人の事も見えてくる・・・事も、無きにしも非ず。
蛭ヶ岳までの道中の景色は随分と端折ってしまったけど、前回記録した蛭ヶ岳までの道が晴れただけ。
これが晴れるとどんな感じになるかっていうと。
↑景色は載せないっていうね(笑) 良い感じの道を歩けますよー♪って。景色は、歩けばわかる良い感じのやつ。
↑ついに到着。蛭ヶ岳山荘が見えてきた。
↑左が山頂。右が小屋。
↑そして山頂には目もくれず、カレーライスに一直線。もうお腹すいた。
↑東城さんめっちゃ嫌そうだったけど、仕方ない何とかすると言ってカレーを出してくれた。僕は非常に居たたまれない気持ちになったが、本当に仕方なさそうだったので本当に嫌だったんだろう(笑)この日はカレーを食べる(下山してからも含む)と決めていたので、何処でカレーを食べるか迷った挙句、みやま山荘でカップラーメンにして、蛭ヶ岳に "カレーお腹" で到着したので食べれて良かった。ちょっと食い過ぎか。この時、「次に来たときカレーは頼みづらいな、どーしよう。」とか思ったのを今さら思い出した。要するに、既に頼みづらい事を忘れていたという事だ。次もお腹が空いていたら普通に聞いてみるだろう(笑)東城さん、何だかタイミング悪かったみたいでごめんなさい。
↑でーーーーん。丹沢Tシャツ最後の一枚。50枚全部届けたぞー!色んな人と繋がれて、丹沢に関わる色んな人の思いが知れた企画だった。今後の僕の活動に大きく関わる人もいる事だと思う。共有の時代だし、丹沢に関わる人達の心を共有するための力になれたら良いな。と思った蛭ヶ岳山頂。いや、山頂のところには行ってないや(笑)東城さんに会って、カレーを食べさせて貰って山頂行かずにそのまま下山した。Tシャツも快く受け取ってくれてありがとうございました。でもカレーは遠慮なくまた注文します!
そして、蛭ヶ岳を出たのは14時。
↑丹沢山に戻ってきた時に太陽はこの位置。現在15時。まだいけるぞ。みやま山荘で根本さんに挨拶だけして即、塔ノ岳へ向かう。
↑塔ノ岳からの大山方面。長尾尾根はコレだよって説明したいけど難しいな。ちょうど真ん中へんの、奥から2列目みたいなところにある左に下ってるやつ。この時点で15時40分。日の入りとか調べてないけど、それなりに焦らないと暗くなりそうだ。蛭ヶ岳からここまでは1時間40分で来た。塔ノ岳からの蛭ヶ岳ピストンは帰りの方が早くなるはずなのに行きも帰りも同じ時間になったのは、雪があったからだと思う。その雪を歩く時間の感覚は移動中に感じていたので到着時間を見たとき納得がいった。ずーっと足に変な負荷がかかった状態で移動しているから、ふくらはぎの上の方が痛い。そんなところに負荷がかかってしまう歩き方をしていたようだ。
痛いとか時間がとかあるけど、どちらにしても太陽は待ってくれない。自分の決断が遅いからこうなったわけだけど、コレを楽しんじゃってる自分がいる限りは懲りないだろう。
↑山は光の加減で雰囲気が変わる。もう長尾尾根に入ったし、このまま暗くなったとしても、それまた乙なもんだなあ。なんて思ったりしながら痛いふくらはぎに気を使い、少し小走りを混ぜてフワフワっと降っていた。そしてこの辺りで、行きの時の自分の心理状態を振り返ったりしていた。その時、「あ!」行きに通った崩れている道の事を思い出した。あそこ暗い時に通るの嫌なんだった!ここからの僕のスピードときたらカールルイスやベンジョンソンも・・・いや、例えが古いな。いや、古いとかそういう問題じゃないんだ。まあ要するにマリオもルイージもビックリだろうという速さで走った。都合よく忘れる僕の優秀な脳みそは、ふくらはぎの痛みをすっかり忘れ、次に痛みを思い出したのは帰りに寄ったラーメン屋で車を降りた時。
何とか17時には下山していたので、丹沢ホームに顔を出して月曜にまた来る事を伝え、車に乗り込んだ。判断が遅かったので途中からは大変な思いをしたけど、結局移動時間は計6時間45分。
スピードハイクってやつだ。いい!!
とても楽しい一日だった。