中学生サッカー少年達と丹沢を歩いて '2022

 

2022年3月。

中学生サッカー少年26人と一緒に、神奈川県は丹沢山地にある塔ノ岳(1492m)に登った。去年も一緒に登らせてもらって凄く勉強になったので、今年も挑戦させてもらいました。2年連続の貴重な体験、NPO法人 Vidaスポーツクラブいさま代表の会田君には本当に感謝いたします。

 

↓試行錯誤した2021年の同行記録はこちらから↓

 

 

ところで中学生って、どんな人か想像つきますか?

身長とか、声とか、テンションとか、頭の中とか、好奇心とか。もちろん想像は人それぞれだし、中学生だって色んな中学生がいるから一括りにはできないですが。

 

まず、今回一緒に登った中学生の情報を少しだけお伝えしますと「中学生、男、そしてサッカーをやっている。」これで想像出来ますでしょうか?サッカーやってる子供がいたり、自分がサッカーをやっていた経験があれば各自の想像がありそうですね。昔サッカーをやっていた同級生を思い出したりなんかしてね。カッコ良かったなーとか、ロクでもねー奴だったなとか。有名なプロサッカー選手のイメージから想像する人もいますかね?色んな角度から想像が出来るほど、サッカーは有名になっているはず。サッカーが好きな人にはたまらない時代でしょう。

 

 

さて。

今回も、去年に引き続きサッカー少年と1日関わってみて感じたことを記録してみました。あくまでも個人的に感じたことですが、今の大人が作っている社会より子供が作る社会の方がまともに機能するのではないか?とすら感じてしまう一日となりました。

 

 

はじめに。

この日、集合時間に遅れた人が1人いました。

遅刻ってやつですね。

中学生達は待ちました。

・・会田君の到着を。

 

ボスが遅れるという波乱の幕開け(笑)実際は事前に連絡貰っていたし、朝のうち体調が良くなかったとのことで全然問題ないのですが、正直そんな中、よく登るなあという印象。かなりタフです。こういった人が子供達の未来を支えているわけですね。恐れいります。

 

塔ノ岳について

ということで、今回登る塔ノ岳という山を簡単に説明します。

 

標高は1491mで、日本一の富士山3776mと比べたら、2285mも低い山です。しかし、基本的に登山口の場所ってのは標高0mにあることはほとんどないので、この標高を全部登る訳じゃありません。日本一の富士山で説明すると、みんなが良く挑戦するルートの富士宮口は2400mにあります。ということは山頂までは1300mぐらい登る訳です。1.3km登り続ける、と。登りやすいルートとは言えさすが日本一、大変ですよね。

 

富士山は1300m登る。

塔ノ岳は1200m登る。

 

あれ?ってなるじゃないですか。

そうなんですよね。あれってなるんですよ。

塔ノ岳は、結構大変な山なんです。

 

では、

 

 

出発します!

去年とは違う学年だけど、去年一緒に歩いたメンバーもいたし、同級生の子供もいたりして嬉しい。

しかしこのルートの大変さを知っていて2度も参加するとはさすが。山は体だけでなく、心も健康じゃないと登れない。大人、子供関係なく、普段から体を動かしている人は、出来ることの幅が広がります。

 

 

 

道中は、各自の自由な時間になります。写真を撮りたい人はとる。食べたい人、飲みたい人、話したい人、歌いたい人、踊りたい人、自由です。

 

今回の決まりごとは2つだけ。

1、道中で自分が死んではいけない。

2、道中で人を殺してはいけない。

 

去年も伝えたけど、山は人が簡単に死ぬことがある場所なのです。やはりこれだけは伝えておかないといけない。サッカーが出来る能力がある彼らは、このルートで死ぬ可能性はほぼない。が、他人にぶつかって殺してしまう可能性はある。ということですね。そんな形でこの年齢から人の命を背負う必要はない。

 

ということで、今年は命のことだけシンプルに伝えた。

 

去年わかったことなんだけど、

説明は、伝わる人には伝わる。伝わらない人には伝わらない。

それは大人も子供も一緒なんだなって。

 

まあどちらにせよ彼らは大丈夫、仲間がいるから。

これも去年わかったこと。

 

 

 

26人で歩いては他の登山者とのすれ違いが困難になるので、3グループに分かれて歩くことにした。

 

僕はこのメンバーと歩いていたけど、健康優良児とはこういう事なんだな。登り登り登り登りっていうひたすら登りの道でも前向きだし、人や景色など周りをよく見ている。まあもともと優れているんだろうけど、彼らを見ていると、身体を動かしながら考えたり周りを見る能力ってサッカーで上がってる可能性もあるなと思った。

 

彼らの前向きさを動画で少しお届けしたい。

 

〜状況〜

登り続けてようやく頂上まで半分という辺りまで来た。まだ登りは続くけど、もう少しで休憩できるポイントなので、そこまで先に行っても良いよと選択肢を出した途端に走り出す2人。他の人はどーするんでしょうか?

※この記事内の動画はyoutubeを使用していますが、この記事でしか観れない設定になっています。

 

 

全員が走るという結果になる(笑)

なんかこーゆー勢いというかなんというか、これは凄く大事だと思っていて。大人になると忘れるのか我慢するのか、出来ない人が増える。やってみるという事に躊躇なく一歩踏み出せる彼らから是非学んで欲しいと思った。

 

しかしこの動画の中で一番凄いと思うことは他にあって、それなりに息が上がっている "キツい" という状況の中、他人に挨拶する声が聞こえる。今となってはこれが出来るのは大人でも優れた人のみだとすら思うぐらい、みんなが出来る事ではない。いよいよ大人と子供、どちらが何を教えてどちらが何を教わるべきか混乱してくる。

 

 

 

山の話を少し。

今登っている大倉尾根も半分を越えた辺りまでくると、右側に山の連りが見えてくる。丹沢の人気ルート表尾根。大雑把に説明すると、まずは一番右に見える山に登って、そこから左方向に登って下ってを繰り返しながら写真に写ってないところまで移動すると塔ノ岳に到着という相模湾を見ながら歩ける展望抜群のルート。山は自分の好みや、体力や状況に合わせて道を選べるところも良い。ちゃんと調べれば、ほとんどの人が登れる山は見つかる。

 

 

 

2回目の休憩地点はここ堀山の家の休憩スペースをお借りした。

彼らの体力だけを考えたら別に休憩は必要ないんだけど、こんな場所でこんなことをやってる時だからこそ、心の状態を共有する時間は大切。

 

 

そしてどんどん登る。みんなサッカーが土台にあるから最低限の連携は取れる能力はもう備わっているけど、山は自分のペースで登れる人こそが最強という見方もある。自分と向き合って最後まで歩き切る。

 

 

表面的には楽しそうに見えても、何かしらと戦わないといけない時がなんどもやってくるし、その何かは人によって全然違う。自分の体力と戦っている人、歩き続ける集中力と戦っている人、周りとのコミュニケーションで戦っている人。

 

 

何人かは他のグループの位置情報をスマホで共有したりしている。電波が入るこのルートではそれはかなり有効で、遭難防止にもなるし、周りの状況を知ることで自分の状況もわかる。普段自分が持っているものを新しい環境でも活かしての適応能力というべきか。

 

 

 

ちゃんと撮れなかったが、先を歩くグループも含めみんなが対向する登山者とスムーズに譲り合っている。団体スポーツを経験していると周りの状況から動きや考えを察知することが本当に上手。音楽を流して自分の心を動かしたりもしてみる。これまた選曲がいい。

 

 

 

今回の大人組には、ミュージシャンのはるちゃんも同行。

ありがとう!

 

 

3回目の休憩は、展望の良い花立山荘の休憩スペースをお借りする。

 

 

いよいよ山頂まで一踏ん張りというところ。

 

 

 

体力的な問題は全くないのはさすがだ。

 

 

 

あとは気持ち良く山頂に到着するのみ。

 

 

さあいよいよ山頂が見えてくる。

 

 

後ろを振り返ればこんな感じ。

どんな気持ちでこの景色を見たかは人それぞれだけど、一番可能性が高いのはこんな景色には目もくれず、山頂に一直線に向かったパターン。前向きすぎて後ろを振り返ったかどうかすらも怪しいということだ。

 

 

 

塔ノ岳山頂 1491mに到着。

 

 

曇ってたけど、なんとか富士山は見えた。

 

 

 

塔ノ岳は360度にリアルな山並みが見える。もしこの景色は忘れたとしても、心には何かしらを残してくれている。それこそが行った人にしかわからない何かってやつなんだろうけど、いつか山が必要になった時にはこの何かってやつをきっと思い出す。それは10年後かもしれないし、20年後かもしれない。

 

 

もしその時に山に登りたいと思った時には、この塔ノ岳に登ったことがあるという経験が背中を押して、はじめの一歩を軽くしてくれると思う。

 

 

 

山に登るということ。

もっと言えば自然の中で学ぶということは必ず、

"生きて行くための力" になる。

 

 

気付くのは大人になってからということが多かったりもするんだけど、今気付かない理由は、今はそれを彼らがちゃんと持っているから。そんな風に感じた。

 

 

 

いつか彼らが大人になって、生きるための大切な何かを忘れたり、自分の心が迷った時、今回の塔ノ岳登山で心に残った何かに答えがあるのなら、彼らは必ず山を歩く事になる。

 

 

それだけ山は人間にパワーを与える・・このように。

 

 

 

今回のVida会田君のテーマは、去年に引き続き "色んな生き方があるということを伝える" ということ。

 

 

 

正直、僕の生き方はしっちゃかめっちゃかなので大人に伝えることすら難しいのだが、逆にそんな僕から見た彼らについて、記録をまとめて終わろうと思う。

 

 

 

色々な生き方があるということ

はじめは、そもそも中学生の段階で生き方を考えること自体どうなんだろう?と思っていた。考えていても考えていなくても死にはしないし、どちらにせよ価値観によってそれぞれが違うイメージを持つ "幸せ" というものは、考えてやってくるものだけではない。

 

 

話は変わるけど、僕は自分の世界を強く持っている人に好奇心をそそられる。

だからなのかはわからないが、普通に生活していたら出会わないであろう人と接する機会が沢山ある。生きるって素晴らしいと人生を満喫している人から、いつも死にたいと毎日嘆いている人まで。そんな人達の生き様をよく見ていると、だいたいの事は過去と辻褄があっている。

「そうやって考えてきたらそうなるよね」「そういう人に囲まれていればそうなるよね」という感じで。生きている環境はかなり大事だなってことになるわけです。よく、子を見れば親がわかるというけど、それぐらい普段一緒にいる人の影響は大きいということでしょう。

 

今回一緒に歩いた彼らの環境が、未来への可能性に溢れていることは良くわかった。そして、この子達の環境に、今後の人生について考えてくれる大人が "親以外にもいる" ということにも大きな意味があると感じた。

 

要するに、今回の会田君が考えた「色んな生き方があるということを伝える」。

これには僕の生き方がどうこう以前に、こんなことを考えてくれる会田君や、一緒に活動するVidaのスタッフさん達という大人が、彼らの周りにいるという環境自体に大きな意味があって、これ自体に幸せな未来の土台があるのではないかと感じた。

 

ちょっと説明する能力が足りなくて申し訳ないが、これが会田くんの山登り企画に参加させて貰った2回目に見えてきたこと。とても素晴らしいチャレンジだと思う。

 

 

 

最後に。

あいちゃん、ありがとう!

 

大人にとっても子供にとっても、どんな人と接するかは人生を変える。僕たち大人は子供から学んで、素敵な仲間がいる彼らの未来を応援できる世の中にしていきましょう!

 

NPO法人 Vidaスポーツクラブいさま

Respect !!

 

 

 

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